足売り婆の話を聞くと

三話目か。お前も好きだな。けどなこういうことってあんまり足を突っ込まないほうがいいぜ。 噂やデマがほとんどだけどな。 なんにしろいくつもある話の中からたまたま本当にヤバイ話が混じっていて 実際自分に不幸が降りかかってしまったら。 それよりは噂やデマで終わってしまうその方がどれだけマシなことか、そうだろ?。 そう後で悔やんだってもう遅い。 まあいいお前が聞きたいなら話してやるさ。

俺はな、以前こういう話を聞いたことがあるんだ。 足売り婆さんって知ってるか? 名前からしてぞっとするだろ、でも話もかなりキテルぜ。 まあ順を追って話そうか。 こいつはな、あるゲームに収録されていた話でな。 俺はそれをやっていたんだよ。

それはな、高校の合宿で深夜怪談話の際に先輩がヤバイ話をするって流れでな。 その話が足売り婆さんさ。 よくある話でなこの話を聞くと実際に出るんだとよ。 そう先輩は告げてから話を始めたんだ。

この話を聞くと、聞いたその日に夢に足売り婆さんが出てくる。 その婆さんは両目がなくてな、夢の中でお前にこう言うんだとよ。 「お前さん私の目玉を探してくれないか?」ってな。 夢の中だ、断れないようだ。 で探すはめになる。場所は川原らしくてな。かなり広いみたいだぜ。 で探しても探しても簡単には見つからないんだ。 すると婆さんがこう言うんだ。 「夢が終わるまでに見つからなかったら代わりにお前の足をもらって売るけえ」 ってな。 もう必死になって探さないと、何しろ足を取られちまうんだ。 夢に出た奴は必死で探したらしいぜ。

先に言っとくよ。何で先輩がこの話を知ってるかって。 そうその先輩は必死になって探し出したらしいからさ。

やっと見つかった両目を婆さんのところを持っていった。 すると婆さんはその両目をそこらへ放るとこう言うんだとよ。 「残念じゃったのう」って。

なぜこの婆さんはこんなことをさせるのかは分からない。 そこらに放ったってことは始めから両目はいらなかったみたいだ。 そう、ただ足を奪いたかっただけかもしれねえ。 まあこういうことに理屈なんてものはないのかもな。 問題は、もし夢が終わるまでに両目を見つけられないとどうなるかだ。 聞きたいだろう。だけどな、それは語られないんだ。 しかし代わりにゲームの先輩が語る話の結末はこうだ。

この話を聞いた一人の後輩はその晩びくびくしていた。 寝てしまうと夢を見て、足売り婆さんが現れるかもしれない。 それでその後輩はこう考え付いたらしい。 足売り婆さんが出るのは、この話を聞いたその日の夢だ。 だからその日は寝ずに過ごそう、ってな。 名案とも言えなくもないよな。 けどなそう甘くなかったらしいぜ。

そいつが寝ずに頑張ったのか、それとも途中で睡魔に負けて夢を見て目玉を探すのに失敗したのかは分からない。 けどな。 次の日起きたらそいつはいなくてな。 皆で捜索をしたら案の定だ。少し離れた川原でそいつの両足がない遺体が見つかったんだとよ。

ゲームに収録されている話だぜ?お前はどうする?今日寝るか? お前はこう思ってるんだろ。 この話を知った俺はどうしたのかって。 夢を見て目玉を探したのか、それとも夢は見なかったのか、ってな。 小学生なら、俺は夢を見て必死に目玉を見つけ出してなんとか助かったって言っちまうところだが。 ゲームの話さ、俺は夢なんか見なかったよ。 それよりもな。そのゲームは当たり前だが文字を読むわけだからな。 俺はその話が終わってから夕方だったけどちょっと寝ちまったのさ。 え、暢気なもんだろって?俺だって内心びびってたさ。 けど睡魔がただ恐怖より強かった、それだけだ。 眠る時?ああ足売り婆さんの話なんてさほど気にせず眠っちまったぜ。

目を覚ますとテレビはつけっ放しでな。 気味が悪いから番組に切り替えた状態で寝てたんだよ。 それでゲームに切り替えて見た。 さっきの足売り婆さんの話が終わったところさ。 ホラーゲームだ。画面は真っ黒がほとんどだ。

そん時だ。画面にある違和感があったんだよ。 なんだと思う?お前知りたいか? ここまで聞いたんだ。最後まで聞いていけ。 画面は真っ黒だ。 セーブ画面だったかな。 表示以外は全て真っ黒。 しかしそこにあるものが映っていたんだよ。 いや正確にはあるものがなくなっていたんだけどな。 お前も気付いただろ?

テレビは真っ黒だと光が反射して自分がはっきりと映るんだぜ。 そう、そこであるものがなくなっていた。 思ってるとおりさ。 俺はベッドに横になって足を組んで、正確には左足の上に右足を乗せる組み方でゲームをしていたんだがな。 お前も組んでテレビで確認してみるといい。 当時は夏さ、半ズボンを履いていたんだが。すると普通なら足のズボンがかかっていない、 大体膝から下の肌の部分がしっかりとテレビに映るはずだ。 しかしな。 そう、その時、真っ黒な画面の中には俺の右足の肌の部分が全く映っていなかったんだよ。

どうだお前はこの話信じるか? その後チャンネルを変えてからは足は映ってるけどな。 だけどひさびさにあの時はぞくっとしたぜ。 何度よく見ても映ってねえんだからな。 俺は怖くなってな、半ば大人になってただけによく確認しちまったんだから。

お前ももう全部聞いちまっただろ。 悪いが一人だと怖いもんでな。 俺はあん時は何度も確認したけど万が一見間違えってこともあるかもしれない。 けど一人だと怖いもんでな。 次はお前が確認してくれよ。 もし映ってなかったら。 そん時は仲良くやっていこうぜ。 ちなみにまだ俺の足に異常は起きてないぜ。 なあにテレビの真っ黒な画面に足が映らなかったことくらいで実際の足がどうにかなるなんて限らないさ。

これで俺の話は終わりだ。さあ次の話を聞こうぜ。